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by srp - 6月 26th, 2012.
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「リア王」 シェイクスピア

「われわれの身に起こる数々の善きものの中でも、その最も偉大なるものは、狂気を通じて生まれてくるのである」と、古代ギリシアの哲学者プラトンは言いました(「パイドロス」p.52)。現代では「狂気」はほとんどネガティブなイメージしかないように思われますが、人間や世界の「真理」や「本質」を突くためには、天才に見られるようなある種の「狂気」が必要なのかもしれません。
リア王は自身の失策と娘たちの裏切りの末に「狂気」へ陥りますが、その結果、人間社会の真相に近づきます。つまり、王たる資格を剥ぎ取られたかれは人間の自然状態に至り、習慣や道徳によって成り立っている人間社会は、実は幻のように儚いものであることを明らかにする。しかし、真理に接したかれに待ち受けていたのは悲劇的な、救いようのない結末でした。「リア王」は人間の暗い宿命を描く、悲劇の傑作と言えるでしょう。

(サイトウ)

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